新そばの美味しさ
「新そば」この言葉の中には、
そばを栽培する人、製粉する人、そばを打つ職人、そばにこだわりのある消費者
の思いが詰まっています。
収穫したてのそばは、製粉すると甘皮の部分がうっすらと緑色で、
そばの風味もよく、そば独特の甘い香りが楽しめます。
そば通の方は、新そばを待ちかねて、蕎麦屋へと通います。
新そばの時期
本州で主に栽培される、いわゆる秋そばの収穫時期は10月11月頃になります。
収穫から、乾燥、調整、製粉を経て、「新そば」は11月12月にお蕎麦屋さんに出はじめます。
新そばといえば、11月頃の話でした。
真夏はそばの端境期
7月8月の暑い時期。本当にそばが食べたくなるのは、こんな暑い季節です。
汗をかきながら蕎麦屋で冷たい締まったそばをいただく。
でもこの時期は、そばの品質が一番心配になる時期なのです。
10月に収穫し、風味も味も劣化が始まり、梅雨の時期を越し、
7月、8月はそばの風味も味も落ちてきます。
![そばの実](https://i0.wp.com/plantz.co.jp/wp-content/uploads/2017/04/IMG_9858.jpg?resize=640%2C427)
そばの実
真夏に新そばを出す
真夏においしい新そばを出せないか?
昨日、ご紹介した白鳥社長(白鳥製粉)は1984年にオーストラリアで
そばを栽培することを決意するのです。
![「そばうどん」より](https://i0.wp.com/plantz.co.jp/wp-content/uploads/2017/04/IMG_0508-e1493009576951-768x1024.jpg?resize=640%2C853)
写真左が白鳥社長(柴田書店「そばうどん」より転載)
南半球のオーストラリアでは12月にタネを播き、3月に収穫できます。
オーストラリアのそばを日本に送れば、真夏においしい新そばが食べられます。
タスマニアでのそば栽培
オーストラリアではだれもそばを栽培する人はいません。
栽培場所の選定、栽培農家の募集、品種の選定、試験栽培、豪政府との交渉、
全てが異国でのはじめてのことです。
白鳥社長は、1984年にこのプロジェクトを開始し、
苦労の末に栽培から輸出のシステムを作り上げます。
1988年に商用栽培が始まり、今では11軒の農家が150haでそばを栽培しているそうです。
真夏に新そばが食べられるようになりました。
![おいしいそば](https://i0.wp.com/plantz.co.jp/wp-content/uploads/2017/04/soba-noodles-801660_1280.jpg?resize=640%2C426)
そばの風味ただようおいしい新そば via Pixabay
発想 と あきらめない気持ち
白鳥社長とお話しているとわかります。
好奇心が旺盛でとても勉強熱心な方です。
あれはどうなの?これはどうなの?こんなことができるんじゃないの。
発想が次から次に広がっていきます。
日本で新そばがなかった真夏。
「どうしたら真夏に新そばを出せるだろうか?」
「そうだ!南半球のオーストラリアで栽培してみよう。」
この発想とやり続けるチカラがとても勉強になります。
発想から30数年、あきらめなかったからこそ
オーストラリアでそばの栽培と文化が根付き始めています。
参考:朝日新聞グローブ